メールに添付された請求書等を印刷した書面が、国税関係書類等として認められなくなることについて、教えてください。
出演: … M社 経理部部長
… 顧問税理士
― M社 ―
M社経理部古門部長と顧問税理士が、打ち合わせをしています。
この請求書は、メールで受領した請求書を印刷されたものですよね?
― (手元にある請求書を部長に見せる) ―
はい。
そうですね。
これは、データ自体を保存するのではなく、この印刷した請求書を国税関係書類等として保存しているのですよね?
別に書面で請求書を授受していませんよね?
はい。
おっしゃるとおりです。
何か問題がありますか?
今年(2021年)まではそれで問題ないのですが、来年(2022年)1月から、印刷した請求書は国税の法律に基づき保存しなければならないとされている書類、つまり、国税関係書類等として認められなくなります。
保存要件を満たすようにデータ保存をするか、別に書面で請求書を授受しなければなりません。
え?
こういった請求書等のデータを電子メールで受領する行為は、いわゆる“電子取引”に該当します。
はあ。
このデータに記録されている取引情報の保存、つまり、データで受け取った請求書等の保存が国税関係書類等として認められるには、これまでも、原則は、電磁的記録の保存が義務付けられていました。ただしこれに代えて、データを出力した書面を保存することでも認められていました。
なるほど。
弊社は今まで代替処理をしていた、と。
おっしゃるとおりです。
これが、令和3年度税制改正で今年末(2021年12月末)をもって廃止されました。
廃止?
はい。
つまり、データで受け取った請求書等が国税関係書類等として認められるには、電磁的記録の保存でなくてはならない、ということです。
では、これからはデータをそのまま保存すればよい、ということですね?
データ保存、という意味ではおっしゃるとおりですが、電磁的記録の保存には、一定の保存要件を満たさなくてはなりません。
保存要件、ですか?
はい。
この保存要件を満たさない電磁的記録については、災害その他やむを得ない事情がある場合を除き、国税関係書類等としては扱われません。
電子データを国税関係書類等として認められたいのなら、保存要件を満たせ、ということですね?
ご理解のとおりです。
この保存要件も令和3年度税制改正で一部改正がなされています。
ちょっと頭が痛くなってきました…。
これ以上の詳しい話は、今はちょっと受け入れられませんね。
分かりました。
これ以上の詳しい説明は、また今度ということにしましょう。
そうしてもらえると、助かります。
では、御社の状況をいくつか確認させてください。
御社自体は、このような電子取引を行ってはいませんよね?
つまり、請求書等を電子データとして発行していない、という確認です。
そうですね。
弊社は、すべて書面発行です。
電子への移行を検討しなければ、と思っていたところですが…。
それではまず、受け取る側の立場で、来年1月に向けて電子取引の取引情報について、どう保存していくかを検討しましょう。
そうですね。
まずは、こういった電子データとして受けている請求書等がどの程度あるのか、の検証から、ですね。
ご理解のとおりです。
それを踏まえて、改正を加味した保存要件と照らし合わせながら、御社にとって最善の方法を考えていきましょう。
よろしくお願いします。
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