文書作成日:2025/07/15
令和7年度税制改正〜個人住民税における基礎控除額の改正の有無
[相談]
私は会社で経理・給与計算を担当しています。
令和7年度税制改正により、所得税の基礎控除額が変更(引き上げ)となりましたが、個人住民税(市県民税)の基礎控除額についても同様の改正が行われたのでしょうか。教えてください。
[回答]
個人住民税(市県民税)については、基礎控除額の改正は行われていません。詳細は下記解説をご参照ください。
[解説]
1.令和7年度税制改正「前」の所得税の基礎控除額
令和7年度税制改正前の所得税の基礎控除額は、納税者本人の合計所得金額に応じて、次の表のとおり定められています。
納税者本人の合計所得金額 | 控除額 |
---|---|
2,400万円以下 | 48万円 |
2,400万円超2,450万円以下 | 32万円 |
2,450万円超2,500万円以下 | 16万円 |
2,500万円超 | 0円 |
(注)令和元年分以前の基礎控除額は、納税者本人の合計所得金額にかかわらず、一律38万円です。
[出典]国税庁タックスアンサー「No.1199 基礎控除」
2.令和7年度税制改正「後」の所得税の基礎控除額
令和7年度税制改正により、上記1.の所得税の基礎控除額については、上記1.の合計所得金額の区分に次の表の区分が追加(5つの区分が追加)され、改正後の基礎控除額は最大で95万円となっています。

3.個人住民税の基礎控除額の概要と、改正の有無
地方税法では、前年の合計所得金額が2,500万円以下である所得割の納税義務者については、その人の前年の所得について算定した総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額から、次に掲げる場合の区分に応じ、それぞれに定める金額(基礎控除額)を控除すると定められています。
@納税義務者の前年の合計所得金額が2,400万円以下である場合:43万円
A納税義務者の前年の合計所得金額が2,400万円を超え2,450万円以下である場合:29万円
B納税義務者の前年の合計所得金額が2,450万円を超え2,500万円以下である場合:15万円
C納税義務者の前年の合計所得金額が2,500万円を超える場合:0円
上記の個人住民税の基礎控除額については、上記2.の所得税のような改正は行われていません。
以上の内容を、所得税に関する他の改正内容(給与所得控除の見直し、特定親族特別控除の創設、同一生計配偶者及び扶養親族の所得要件の見直し)とあわせてまとめると、次の表のとおりとなります。

[出典]総務省「地方税法及び地方税法等の一部を改正する法律の一部を改正する法律の概要」
[参考]
所法86、改正所法86、令和7年改正所法附則1、7、改正措法41の16の2、地方税法34、314の2など
※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。
本情報の転載および著作権法に定められた条件以外の複製等を禁じます。
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