万一に備えるための〜保険の相続対策
万一に備えるための〜保険の相続対策
文書作成日:2023/12/05
死亡保険金の受け取りと扶養親族

死亡保険金の受け取りと扶養親族の関係について教えてください。

Q
今月のご相談

 夫は妻である私を受取人とする生命保険に加入しており、先日夫が亡くなったことを受けて生命保険会社から保険金を受け取りました。私は同居している息子の税法上の扶養親族になっています。今回の保険金の受け取りにより、扶養親族から外れてしまいますか?

【生命保険の加入形態】
  • 保険の種類:終身保険
  • 契約者(保険料負担者):夫
  • 被保険者:夫
  • 死亡保険金受取人:私
A-1
ワンポイントアドバイス

 今回の保険金の受け取りを理由に、ご子息の税法上の扶養親族から外れることはありません。

A-2
詳細解説
1.税法上の扶養親族

 所得税や住民税を計算する上で、納税者に控除対象扶養親族となる人がいる場合には、一定の金額を所得金額から控除(所得控除)することができます。この所得控除のことを「扶養控除」といいます。年齢や同居の有無などにより控除額は異なりますが、たとえば所得税の場合は最高63万円の控除が受けられます。

 控除対象扶養親族とは、たとえば日本に住んでいる扶養親族であれば年齢16歳以上の人をいいます。
 扶養親族はいくつかの要件をすべて満たしている人になりますが、その要件の1つに「年間の合計所得金額が48万円以下であること」という、いわゆる「所得要件」があります。
 ご相談者様は、この合計所得金額に今回の保険金が含まれてしまうのか、という疑問をお持ちのことと思います。

2.税法上の死亡保険金の取扱い

 死亡保険金は、その保険の加入形態によって次のように課税関係が異なります。

◆死亡保険金の課税関係

契約者
(保険料を払った人)
被保険者
(死亡した人)
受取人
(保険金をもらう人)
税金の種類
@ 相続税
A 所得税・住民税
(一時所得)
B C 贈与税

 今回受け取った保険金は、生命保険の加入形態から上記@に該当し、「みなし相続財産」として相続税の対象となります。そのため、所得税の対象にはならず、ご相談者様の合計所得金額に含まれることはありません。

 ご相談者様が引き続き他の扶養親族の要件を満たす場合は、扶養親族となります。ご相談いただいた今回のケースでは、死亡保険金受け取りが理由で扶養親族から外れることはありません。

3.みなし相続財産とは

 相続税は、死亡した人の財産を相続や遺贈により取得した場合に発生します。この財産には現金、預貯金、有価証券、宝石、不動産、貸付金や著作権など、経済的価値のあるものすべてが含まれます。

 また、本来の相続、遺贈により取得した財産ではないものの、実質的に同様の経済効果がある財産(みなし相続財産)も、相続税の対象となります。被相続人が保険料を負担していた生命保険の死亡保険金、死亡退職金等が、みなし相続財産に該当します。

 今回のケースは、受け取った保険金の課税関係が相続税であったため、ご相談者様の所得要件に影響しませんでしたが、仮に受け取った保険金について所得税(住民税)が課税されることとなった場合には、所得要件に影響を与える可能性があります。
 相続税に限らず、相続に関する税金のお悩みは、当事務所までお気軽にご相談ください。

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